練習でなくあそびの心得で。
幼児のメニューは5分で終わり! 怒らずどんどん次に

教えず育てる保育園を見てみる

高校生のようなメニューや成果を、小さな子たちに期待していませんか?彼ら彼女たちの体と心がまだ「やわらかい」のには理由があります。

「小学生を小さな高校生に」「幼児を小さな10歳に」するのは、本人も、実は教える方も、つらい。
いま、その子にとって必要なこと、伸びることを、親子一緒に楽しみましょう!

こんな保育園があります。
宮崎県延岡市・杉の子幼保連携型認定こども園(2件)

アクロバット的な鉄棒by 5歳児。何も教わらずにこうなる⬇

こちら(上)は2分弱ありますが、ぜひ見てみて。
三人で「1v1v1」で誰がトライできるかゲーム、をしています。女の子、途中泣きます。でもあきらめない。最後に勝つのは?

大人の声かけ、応援しているだけです。大人が「勝て」「勝つためには」なんて言わなくても、子どもは勝ちたい、勝ちにいく。負ければ大泣きするくらいに勝ちたがる。

だから、大人はプロセスに専心したい。「こんなことできたね」「こんなこと感じてたんだね」「それは悔しかったね」
その共感が彼らの栄養、うれしさ、楽しさになります。

  • 3-5歳にして、驚くべき身体能力とコーディネーション!
  • 保育士は教えない、運動の内容を強制もしない。ひたすら安全確保!
  • 園児同士の教え合い、保育士の見守りで「場」を作る

あくまで、例です。

スキャモンの発育曲線。12歳? いえいえ、もっともっと前に幅のある運動経験があると良い

ママに登っちゃおう! 親子の共同競技が楽しい。

山登りならず、「ママ登り」に挑戦! 難しければパパ登りでもOK。

胸まで登れたらバンザイ! できる子は肩の上まで登っちゃおう。

そしてそして、難しいのは下りだったりする。油断しないで…。

ママパパは、子どもたちの技術体力に合わせてポーズを工夫しましょう! 深くヒザを曲げたり、ヒジを曲げて「枝」を作ってあげたり。下りは特に滑り落ちやすいので気をつけて。

*このあそびは必ず補助をつけて行なってください。バンブーでは2ペアが対になって背面側のサポートなどをしました。

応用編は「だっこ一周旅行」。身体の前面に子どもが抱きついた状態から、ママパパの脇の下を通って背中へ。また反対の脇の下を通って元の「だっこ」へ。誰が早く一周できるか、親子で力を合わせて競います。「大人は、子供の体をつかまない」などのルールを設けて、安全面を確保してください。

子が安心できる場であろう

会の冒頭、講師である私がウォームアップで迷っていると、子から「鬼ごっこは?」「鬼ごっこやりたい」と声が上がりました。これ幸いと採用です。たった1分。子が大人を追いかける両手タッチの鬼ごっこをしました。

大人を歩きにして、捕まりやすい設定にしました。子らはあっという間に大人をキャッチ。拍手で今度は逆! 子が逃げる方へ回ります。大人は歩きのみ。そうです、追いつくはずがありません。連携をして挟み撃ちなど、声を掛け合う姿が見られ、さすがです。

大人は、相手を全滅させるのに子よりも多くの時間を要しましたが、子どもたちの中には、大人の声のかけあいをしっかり見ている子もいました。Wタックルが基本の今のラグビーでは、ディフェンスのセットまでに交わすコミュニケーションは必須にしてとても重要な防御スキルになります。

合わせてたった2分しか動かない鬼ごっこを大人も子どもも夢中でやれば、そんな力が身につくのです。

一見、ラグビーらしくないゲームの中にも楕円球技の要素を見出して全力で楽しむ。もしママパパの中にラグビー経験者がいらしたら、そんな部分を感じて抽出して示してくださるとうれしいです。経験者でない人も、楽しんで一生懸命あそぶお姿を見せてあげてください。子らはその気持ちのいい姿勢をかっこいいと感じ、真似をします。

子らから自ら「これをやろう!」と提案をくれたので、彼らは最初から高いテンションで臨んでくれて、アップはほんの3分ちょいで終わりました。遊ぶ本人たちの提案はできる範囲で採用します。アレンジはコーチの腕次第ですよね?

大人が提案を受け入れると子どもたちは練習の時間を少しずつ自分たちの場だと認識し始めます。自主的な姿勢はもちろん、アワ・チーム(OUR TEAM)の意識が芽生え、主体的な取り組みにやりがいを感じるようになっていきます。その基盤は、「ここでは自分をありのまま出して良いのだ」と子が感じられる安心感にあります。

訓練のようなピンポイントな反復練習に比べると、個別のスキル習得に時間がかかります。子の姿勢を重視すると大人側には辛抱も、子の言動をさばく技術も要ります。しかし、その積み上げが、高学年やジュニア(中学)で大きな伸び代となります。ラグビーの試合を思い浮かべて下さい。目の前で動き続ける相手に応じて、一瞬ごと判断と連携を積み上げている彼らに、コーチは本当に重要な指示を送ることはできないからです。

初めは大人に合わせて一部の時間でもいいかもしれない。バンブースタイル、品川スタイルをみなさんでつくっていってください!