【第20回イベントREPORT】
「伝わる言葉」を得るために。
デフラグビー指揮官は、目で話を取りにいく

  • 2025.08.14
  • SRU

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【第20回イベントREPORT】
「伝わる言葉」を得るために。
デフラグビー指揮官は、目で話を取りにいく

デフラグビーの中に、「端っこ」がある

 

SRU主催のセッション、第20回はデフラグビー指揮官の柴谷晋さんが登壇してくださいました。

 

2026年秋、日本で初開催されるワールド デフ ラグビー セブンズ。7人制ラグビーの国際大会で世界一を目指す柴谷晋ヘッドコーチ(下写真中央)のレクチャーでした。

 

[caption id="attachment_1850" align="alignnone" width="800"] 夏合宿シーズンの開催とあって規模はコンパクト。そのぶん、参加者の皆さんの「幅」が面白い回に。コーチはもちろん、議員さん、社会福祉士、先生、企業広報に小学生まで[/caption]

 

聴覚障がい者のラグビーをデフラグビーといいます。驚いたのは、デフラグビーの中にも「南北対立」なるものがあるということ。日本、NZ(ニュージーランド)、フィジーなどの国では選手が聾者(聞こえない)中心なのに対し、北半球の国々では実は、難聴者が中心。つまりチームによって、聴こえの程度に大きな差があるのです。
 
より深刻なのは、そのことでチーム内に「差」が生まれることではないかとかんじました。北半球のチームでは、聾者(聞こえない人)はプレーでも中心選手にはなれず、アタックではボールがあまり回ってこない位置に…。
 
ラグビーの中の、パラスポーツ。デフラグビーの場にそんなバリアがあることにショックを感じました。
 

「中」のほうにいると、鈍感になるんだ。

 

本人が優れた選手、いい選手でも、聴こえの状態によって「はじっこ」に位置される。

 

デフラグビーの試合では一般のレフリーが兼務することが多い事情から、実は試合で笛が使われているのですが(!)、聴こえない選手が笛に気が付かずにプレーを続けて、ペナルティー(重い反則)を課されたこともありました。これは仕組みとしてあきらかに不公平。日本は、来年の東京ワールドセブンズ招致に際して「笛を使わない」試合を提唱し、採用が決まっています。



設定された不公平、に触れてはっとさせられたことがあります。

 

私たちは大丈夫かな?

 

一般のラグビー、に果たして「差」は設けられてはいないかな?

 

たとえば聴者だけのチームであっても、誰かが、プレー以外のことがらで「はじっこ」に置かれていないか。そんなセッティングでものごとを進めていないか。場合によってはチームに加わることさえできていない人がいるのかも。そういうバリアは、「中」にいると気が付くのが難しい。

 

感じ取り、関係を作って…

 

10年ほど前、まだ「五郎丸」が一般に通じるようになる前の頃。ラグビークラブのメンバーがなかなか増えないことに「どうしてだろう?」と葛藤していました。のちにジュニア(中学生クラブ)、そして中学部活を経験して、その理由はあとから、あとから、少しだけ分かるようになってきました。

 

「伝わる言葉」を編み出す魔法の法則を探るよりも、お互いに「伝わる」関係性を作っていくことを大事にしていきたい。21歳の右耳の失聴以来、困難な道を駆け抜けて、なおブリブリに走り続けている柴谷さんの姿を目の当たりにして、そう思いました。

 

ま、それが一番難しいんですが。

 

ヒントになるなと思ったのは、デフラグビーの練習中のコミュニケーションのエピソード。
デフの円陣では、音がないから、目で、話を取りにいかなきゃならない。キャプテンが全員に語り掛けている時に、二人だけが直前のミスについて話している…あるあるの場面ですよね。柴谷さんのチームでは、そんな時に素早くリーダーの声にフォーカスできるよう意識している。声をかけ合う。で、そんな時、彼らは「今、聞いてた?」ではなく「今の話、見てた?」と言うのだそうです。

 

伝えたい、受け取りたいなら、全身で。まずは目で話を取りにいく、受け止めにいく。話す聞くの初めの構えを、あらためて倣ってみようと思います。

 

 

 

 

 

[caption id="attachment_1848" align="alignnone" width="800"] なつやすみの自由研究に、してくれるのかな[/caption]

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